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糖尿病分野には多くの記事があります。興味をそそる科学論文は革新的で糖尿病管理に関するガイドラインに大いに影響を与えました。この中でも中心的な論文3報を紹介します。

  1. 英国糖尿病に関する前向き研究 (United Kingdom Prospective Diabetes Study: UKPDS)

    UKPDSは、新たに2型糖尿病と診断された患者5,102名を対象とした、血糖管理治療に関するランドマークとも言うべきマルチセンターランダム化試験です。英国の23施設で20年間にわたって(1977~1997年)継続された試験では、かつては必須と考えられていた2型糖尿病患者の合併症が血糖値と血圧の管理によって緩和することが可能である、と結論付けました。 

    研究結果: HbA1cが下がると次の合併症のリスク低下 1. 微小血管疾患 -37% 2. 糖尿病が原因の死亡 -21% 3. 心筋梗塞 -14% 

  2. 糖尿病管理と合併症に関する試験 (Diabetes Control and Complication Trial: DCCT)

    DCCTはアメリカ合衆国国立糖尿病および消化器・腎臓病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases: NIDDK)の基金で1983〜1993年に行われた有名な臨床研究です。この研究では血糖値を基準範囲に近くコントロールしていると、糖尿病による眼、腎臓、神経系の傷害の発症、進行が抑制されることが示されました。実際に、血糖値を低く保持すれば、過去の血糖管理がうまくいっていない場合でも同様の効果が見られました。

    DCCTの対象者は、アメリカ合衆国とカナダの合計29の医療施設から13〜39歳のI型糖尿病のボランティア患者1,441名でした。ボランティアは糖尿病発症から1年以上15年未満経過している患者です。また、糖尿病性眼疾患は未発症あるいは発症早期であることも条件でした。HbA1cを基準値である6%以下とするように厳しく管理しました。参加者は治療グループごとにランダムに割り付けられました。 

    研究成果: 血糖値の厳格な管理により次の合併症のリスク低下 1. 眼疾患 -76% 2. 腎疾患 – 50% 3. 神経系疾患 – 60%

  3. 糖尿病への介入と合併症の疫学 (Epidemiology of Diabetes Intervention and Complications: EDIC)

    1993年にDCCTは終了したのですが、参加患者の9%以上についてさらに研究を継続しました。この追加検討は、糖尿病への介入と合併症の疫学(Epidemiology of Diabetes Intervention and Complications: EDIC)と命名され、心臓発作、脳卒中、または手術の適用となる循環器疾患、眼、腎臓、神経系疾患といった糖尿病合併症の発症と予測因子の検討を行いました。 EDICでは、血糖の強化管理と標準管理のQOLへの影響も検討しています。ここでは、強化管理の費用対効果も検討目的としていました。

    研究成果: 血糖の強化管理によるリスク低下 1. 心疾患発症 -42% 2. 軽度の心臓発作、脳卒中または心疾患による死亡 -57% 
 

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