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糖尿病管理現在のガイドラインと治療のゴール

2型糖尿病(T2D)を管理するために、地方、地域および国際レベルでのいくつかの臨床実践ガイドラインが公表されています。最も一般的に使用され参照されているガイドラインには世界保健機関(WHO)、米国糖尿病学会(ADA)、欧州糖尿病学会(EASD)、国際糖尿病連盟(IDF) および国立衛生研究所 (NICE) によるものがあります。

近年、IDFは、日常の意思決定プロセスを容易にして、プライマリケア医師、病院に拠点を置く臨床医および一般開業医に診療の推奨事項を提供するために、現在利用可能なガイドラインの類似点および相違点を分析しました。

糖尿病の診断、スクリーニングおよび治療における基礎の1つは、血糖値の測定です。これは、ポイントオブケアでHbA1cとセットにして最も頻繁に行われるようになっています。

2型糖尿病(T2D)のスクリーニング

T2D患者の最大50%が未診断および未治療のままであり、したがって合併症を発症するリスクがより高いことを考慮すると、ほとんどのガイドラインは、40~45歳以上の人々で糖尿病の家族歴、過剰体重(肥満)、腹部肥満(肥大した胴囲)および高血圧などの危険因子をもつ人々に対するT2Dのスクリーニングを推奨しています。

IDFは、ガイドラインで、FINDRISCスコアなどローカルで検証されたスクリーニング検査の使用を推奨しています。これが使用できない場合は、空腹時血糖値をスクリーニングテストとして推奨しています。FINDRISCのスクリーニングツールはオンラインで利用可能で、www.idf.orgからダウンロード可能です。

空腹時血糖値検査は最も広く使用されている検査です。空腹時血糖値は、未診断のT2Dの人々や中間型高血糖(「境界型」)の人々を特定し、T2Dへの進行リスクをどのように減らすかについてのアドバイス、たとえば生活習慣の改善や、構成が組み込まれたプログラムを伝える手段となります。

スクリーニング検査結果が陽性であった人々は診断検査に進む必要があります。検査の結果が正常であれば、彼らは健康的な生活習慣への変更についてアドバイスを受け、診断テストは毎年受ける必要があります。陰性の場合は、少なくとも3年ごとにスクリーニング検査を繰り返すことを推奨します。

T2Dの予防のための推奨

IDFは、いくつかのガイドラインにはT2Dの予防に関する勧告が含まれており、計画的な予防プログラムの必要性について合意されていると結論しています。 IDFは中間高血糖(「糖尿病予備軍」)の人々のT2Dの予防は、少なくとも5〜7%の体重減少および身体活動の増加を目標とした生活習慣の変更に焦点を当てるべきであると述べています。予防プログラムが利用できない場合、プライマリケア専門家はトレーニングを受けた指導者とチームを組んで、計画的な予防プログラムを開発する必要があります。

診断手順

評価されたガイドラインのほとんどは、IDFとWHOが提案した標準的な診断基準を使用しています。診断手順として、IDFはこれらの基準を推奨しています。

糖尿病前期と糖尿病

治療を決定し、その有効性をモニターする必要があるため、特にこの疾患を有する可能性が高い患者では、HbA1cを臨床診断検査としての使用を認めています。HbA1cの測定結果がHbA1cと糖尿病患者のリスクとの関連性を確立した、Diabetes Control and Complications Trial(DCCT 糖尿病のコントロールと合併症に関する臨床試験)、United Kingdom Prospective Diabetes Study(UKPDS 英国前向き糖尿病研究)に準拠しているのであれば、診断のための検査として加えるべきです。

ガイドラインでは、プライマリケア医師は、各々の診療所で標準化されたHbA1c検査が利用可能であることを確認するよう奨励しています。無症状かつ診断検査の結果が正常範囲に近い場合、診断は第2の検査が必要です。

血糖値コントロールの対象

IDFは、T2Dにおけるグルコースコントロールの一般的な目標値の分析において、ほとんどのガイドラインは、HbA1cを7%(53mmol/mol)未満にすると判断していると結論付けています。しかし、HbA1cを<6.5%(48mmol/mol)にする必要があるとしているものもあります。適切な処置によって低血糖および体重増加が回避され得る限り、より低いHbA1c目標が望ましいか、または少なくとも考慮されるべきです。8%(64mmol/mol)を超えるHbA1cの値は、一般にすべてのガイドラインで許容できず、3mmol/mol(54mg/dL)未満の血糖は絶対に避ける必要があります。

特別な母集団における血糖値の目標

認識障害、進行性慢性腎疾患(CKD)および重度心血管疾患(CVD)など複数の併存疾患を併発していて血糖降下薬(GLD)を含む複数の薬物を使用する予測生存期間が短い(たとえば10年未満)患者においては、HbA1c 7.5%〜8%(58〜64mmol/mol)の目標がより適切かもしれません。これらの条件を持つ患者は専門家のケアを受ける必要があります。

グルコース管理のモニタリング

インスリンを使用することがが必須である患者は グルコースモニタリングが推奨されます。IDFは、グルコースモニタリングが、治療調整だけでなく、急性疾患または自己管理のための教育ツールとしても有用であるとしています。

他の推奨事項

生活習慣の変化、肥満、薬理学的治療、アドオン療法に関連する推奨事項の他に、IDFは心血管リスク因子やその他の推奨事項に関する推奨事項を比較しました。

すべてのガイドラインでは、高血圧がCVDおよびCKDの主要な危険因子であることが認識されています。T2D患者の拡張期血圧(DBP)は80mmHgである必要があります。 しかし、収縮期目標に関連する不一致があり、これは140〜130mmHgの間で変動します。

別の主要な心血管リスク因子は、高血中脂質レベル、特に高LDLコレステロールです。
いくつかのガイドラインには、T2D患者の診断時から1〜2年ごとの微小血管合併症のスクリーニングが含まれています。

腎不全のスクリーニングには、アルブミン排泄速度(AER)および糸球体濾過率(GFR)の測定が含まれます。尿中のアルブミンを毎年スクリーニングすることが推奨されています。持続性のアルブミン尿症には、ACEインヒビタまたはARBの治療が必要です。

血清クレアチニンは、アルブミン尿が検出された後、および/または他の危険因子(たとえば、高血圧)が存在する場合、eGFRを計算するために毎年測定する必要があります。

 

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